「……なんか他に観光スポットないかな」

 俺たちははるばる北海道は網走にやってきた。

 有名な網走監獄を後にして、札幌に帰るため六時間くらいのながーい旅をはじめようとしていたわけだが……。

「折角網走方面まで来たのに、ただ帰るのも勿体ないよなあ」

 車内に四名。運転手を除いた三人がスマホでぽちぽちと周辺スポットを探していく。

「あ、これ面白そうじゃない? 遠軽の方におもちゃの美術館があるんだって!」

「どれどれ……へー、世界中から木のおもちゃが集まってるらしい。なんか実際に触れるみたいだぞ!」

 なんで遠軽町にそんなものが……?

 多分全員、同じことを思い浮かべていただろう。まあ、網走から遠軽までは車で一時間。

 札幌から遠くなるわけでもない。いい息抜きになるだろう。

「じゃ、そこ行ってみるか」

 一度車を止めカーナビを頼りに、俺たちはそこに向かうことにしたわけだ。

 聞いたことのない名前に俺たちは正直期待をしていなかった……と思う。

「やべーっ!」

「ここ最高じゃね!?」

 ところがどっこい。一時間半後――俺たちはその美術館の虜になっていた。

 館内に所狭しと並んだ様々な木のおもちゃ。

 今は懐かしきものから、某有名キャラクターの木彫りの人形もある。

 中でも楽しいのは木製の仕掛けおもちゃ。ビー玉を転がしていくシンプルなものだけど、これが何種類もあり意外とハマる。

 おまけにプレイルームのようなところがあり、滑り台の着地場所に沢山の木の玉で満たされたプールがある。

 丁度小さい子もいなかったので、大の大人四人がはしゃいで遊んでいた。

「なんだここすっげー楽しいじゃん!」

「もっと早く来ればよかったな!」

 おもちゃというものは何歳になっても心惹かれるものらしい。

 童心に返って一時間ほど遊んだ俺たちは、喜々として帰路についた。

「はー……こんなところにこんな楽しいところあるなんてなあ」

「俺たちずっと北海道住んでるけど、全然知らないとこばっかなんだな」

「札幌住んでると小樽とか……行って旭川とかしかいかないもんな」

「来年は北海道一周とかしてみっか!」

 帰りの車は大盛り上がり。

 道民も知らない北海道の魅力にまた一つ気付いたよい旅行になった。