「……ラーメン食べたい」 時折無性に襲われる欲。そう、俺はラーメンが食べたい。
家で作るラーメンじゃない。カップラーメンでも、インスタントラーメンでもない。
ラーメン屋のラーメンが、食べたい!
外出自粛の中、在宅ワークの日々。 最近めっきり外食する機会も減った。
たまには思い切って外に行こうと、俺は意気揚々と財布とスマホ片手に家を飛び出した。
この札幌市はラーメン激戦区だ。 地図で調べるだけでも至る所に様々なラーメンがある。
塩や醤油、つけ麺も捨てがたいのだが。今日の気分は王道札幌味噌ラーメン。
ということで、俺は札幌市は中の島にある地元民なら誰もが知っている某有名ラーメン店にやってきた。
いつもは開店前から行列ができている時もあるが、今は昼時も過ぎた時間。
待ち時間もなく店に入ることができた。 券売機で食券を買う。
今日は贅沢に味噌チャーシュー麺にしようと思う。
カウンター席に腰掛け、ラーメンが運ばれてくるのを待つ。
なんだか店で食事が運ばれてくるのを待つのも酷く懐かしい気分になった。
「お待たせしました。味噌チャーシュー麺です」 待つこと十分ほど。目的のラーメンがやってきた。
待ちに待ったラーメンだ。 「頂きます!」 手を合わせ早速ラーメンを頂く。
麺を持ち上げると、もわっと中から湯気が上り眼鏡を曇らせた。
卵色の中太縮れ麺を、やけども気にせず口いっぱいに啜る。
こってりながらも飲みやすい濃厚な味噌スープと絡み合ってまさに極上の幸せだ。
この店のラーメンは家庭でも作れるように商品ができているが、やはり店で食べるラーメンは別格だ。
肉厚のチャーシューにかじりつくと口の中でほろほろと崩れていく。
美味い。美味いの一言に尽きる! 嗚呼、食べにきて良かった! 生きてて良かった!
「……っ、ふう。ごちそうさまでした」
あっという間に最後のスープ一滴まで飲み干して、どんぶりを置いて手を合わせた。
幸福に腹を満たしながら、俺は席を立つ。
レジ横に置いてある自宅用のラーメンを一つ買い、俺は意気揚々と家路についた。
早くこのコロナ禍が去れば良い。 そうしてまた、色々な店に食べに行きたい。
いつかまたマスクを外して歩けるようになる、その日が早くくることを祈るばかりである。