十一月を過ぎたある日のこと。北海道の天気予報に追加された雪だるまマーク。
『——今晩は一気に冷え込み、明日未明にかけて初雪が観測されることもあるでしょう」
そう。今年もいよいよ初雪の季節がやってきてしまった。
長い、長い冬の幕開けである。
子供は今か今かと積雪を待ちわびるが、道民の大半はこれから訪れるであろう長い冬の幕開けにうんざりする者も多いはず。
天気予報通り、その日の晩はかなり冷え込んだ。
石油ストーブのタイマーをセットし、押入れから羽毛布団を引っ張り出しくるまって眠る。
そうしてぐっすり眠った翌朝。目覚ましの音で目が覚める。
もぞりと起き上がろうとすると布団の外は極寒だった。
いよいよ布団が恋しい季節になってきたものだと、覚悟を決め起き上がりカーテンを開けた。
「うっわ……」
思わず声が出る。
早朝。まだ薄暗い外は、夜通し降り続いた雪で一面真っ白になっていた。
木々は白く雪化粧され、見ている分にはなんとも幻想的で美しい光景が広がっている。
雪の降りはじめは日中暖かくなれば溶けてしまう。この美しい景色が見えるのは冷え込む早朝だけだ。
まぁ、いずれにしろ来月にでもなれば毎朝嫌でもこの光景を目にするのだろう。
通勤。いつもより暖かい格好をして、札幌の街中を歩く。
雪国に住む道民とて、雪の降りはじめは若干の混乱がある。一年ぶりの雪の感覚に慣れるまで数日間時間を要するのだ。
道路をいつもよりゆっくりと走る車。道はいつもより渋滞している。
通行人たちも、足元が悪く転ばないように最新の注意を払って歩いている。
ペンギン歩きは雪道歩行の必須スキルだ。
こうして雪を目にすると、今年も冬の幕が開けたのだと実感する。
毎朝布団の誘惑と戦い、雪が降り積もればいつもより一時間起きて雪かきをしなければならない。
そして通勤時間も夏季より一本早い時間のバスに乗る必要がある。
さぁ、今年も長い冬との戦いの幕開けだ。
雪不足も困るけれど、今年もどうかあまりたくさん雪が降りすぎないようにと祈るばかりである。
