社殿の前に凛々しい表情のうさぎが鎮座しています。
「なでうさぎ」と言って、願い事をしながらなでるとご加護があるそうです。
この神像は神話「因幡の白うさぎ」にちなんで設置されたそうです。
ワニ(サメ)を騙した報いに皮を剥ぎ取られてしまったうさぎ。通りかかった大己貴神の兄弟達はうさぎに海水に浸かれば治ると教えられてその通りにすると余計ひどくなってしまいます。大己貴神は真水に浸かって蒲(がま)の花の上に寝ていれば治ると教えると、本当に治りました。
大己貴神の優しさにふれて改心したうさぎは神兎となります。
私も願いを込めてうさぎの頭をなでなでしていたら、凛々しい顔がかわいらしく見えてきて、口から手足までなでてしまいました。
うさぎも頭や手足や口も、「なでてなでて」と言わんばかりのなだらかな曲線でした。
神獣うさぎにちなんだものが、湯倉神社には他にもあります。
竹林の中に白い玉砂利でうさぎを表現した癒しの空間。
てまりとうさぎをモチーフにした縁起物「てまりうさぎ」
うさぎの絵馬やおみくじやお守りなど。
香木でもある楠木で作られたおみくじは、うさぎの模様によってご祭神のメッセージがいただけます。持ち帰ることもでき、その際はお守り袋をいただけるそうです。
あたかも大己貴神にご恩を受けたうさぎが、そのご加護を人々にわけ与えるために帆走しているような、神獣がこんなに活躍している神社も珍しいのではないでしょうか。
境内の中でもパッと目を引くのが、本殿の右奥に連なる朱塗りの鳥居の列。
鳥居をいくつもくぐり抜けながら、境内の奥へと歩みを進めると、朱塗りの拝殿が出迎えてくれます。
豊受稲荷神社です。
ご祭神は倉稲魂神で、この女神様は稲の精と言われていて、御神徳は商売繁盛、五穀豊穣、産業発展、火災・災難除けです。
ひっそりとした境内の奥であざやかな拝殿の前にたたずんでいると、不思議な空気に身を包まれているような感じがしました。
湯倉神社の鳥居をくぐってすぐの右手には、水琴窟があります。
水琴窟とは手水鉢の近くの地中に空洞を設け、手水鉢の排水を落としてその涼やかな音を楽しむ仕掛けです。
すぐ向こう側に車が激しく行き来している喧騒の中、涼やかな音に耳を傾けるのもいいものですね。
厳かな雰囲気の中でもかわいらしさや縁起物がいっぱいで、お参りをした後に立ち寄りたくなるところがたくさんある、湯倉神社はそのようなところでした。