「いやぁ……今日は楽しかったねぇ」
「また食べに行こうね」
花の金曜日。札幌の繁華街すすきの。
各々仕事終わりに集まった二人OL。行きつけのイタリアンでたらふく飲み食いした後、シメにとやってきたのは小洒落たバーのようなパフェ専門店だった。
「お待たせしました! イチゴパフェとチョコレートパフェです」
店員が運んできたのは、苺の果実がふんだんに乗った目にも宝石のようなイチゴパフェ。もう一つは濃厚なチョコレートアイスやチョコレート細工が上品な印象を与える美しいチョコレートパフェ。
北海道の酒のシメといえばラーメンが主流であったが、近頃はパフェで締める——所謂『シメパフェ』というものが流行っている。
繁華街には夜パフェ専門店が立ち並び、午後十時半をまわっても小洒落た店内はたくさんの客で賑わいを見せている。テーブルの上には背の高いグラスに入った美しいパフェたち。SNS映えしそうなパフェを客たちは写真に納め、美味しそうに食べていた。
そしてこの二人もまた慣れた手つきで写真を撮り、パフェをつまみに飲み直し、絶えない話題に花を咲かせたのであった。
「はー、美味しかったねぇ」
「甘いものは別腹ですわ」
店の外に出たのは入店から一時間後のこと。
季節は冬。外に出た途端、冷たい北風がアイスで冷え切った体に染みる。厚いダウンコートとマフラーに顔を埋めても痛いほどの寒さは防ぎ切れたものではない。
「……っ、さぶっ」
「ねぇ、甘いもの食べたらしょっぱいものも食べたくならない?」
体を丸め、急ぎ足で駅へ向かっていた二人はふと足を止めた。
同じことを考えているのか、目を合わせにたりと笑う。
「あったかいものとかどう?」
「いいねぇ。寒いし」
終電まではまだまだ時間がある、二人の視線は傍にあったラーメン屋の暖簾に向いた。
「行っちゃう?」
「行っちゃいますか?」
飲み過ぎも、食べ過ぎも、酔っ払いの二人は気にしない。
食後はデザートを。甘いものの後にはしょっぱいものを。冷えた体は暖かいものを食べて温めればいい。
シメとは一体なんなのか疑問に思うところだが、本人たちが楽しければそれで良いのだろう。
こうして今日も繁華街の夜は更けていくのであった。
